ハッカソンに先駆けて行われた6回におよぶアイディアソンで出されたアイディアから、プロトタイプの開発を5チームで競い合いました。浪江町の方々が、「使いたい」と思ったアプリに得点を付ける方式で審査。
その結果、最も得票が高かった・・・
浪江町賞
…を頂きました!
写真は、表彰状&副賞のなみえ焼きそばです。
せっかく良い賞を頂いたので、少しレポートを書いておきたいと思います。
このハッカソンは、福島第一原発事故で全町避難が続く福島県浪江町で、町からの情報発信や町の方々どうしの繋がりを維持するため、タブレットを配布する事業の一環として行われたものです。
ハッカソンとは、Hack(開発) + Marathon(マラソン)を組み合わせた造語。短期集中型で、プログラムを開発するイベントです。
今回の場合、6/21(土) 10時から始めて、6/22(日) 13時過ぎには開発終了。ようするに…
27時間でアプリケーションのプロトタイプを造る
…ということです。
ハッカソン向けのアイディアは、ハッカソンに先立ち6回ものアイディア出し(アイディアソン)が行われており、運営されている方がまとめておられました。
壁に張り出されたアイディアから、自分が作りたい!と思うものを選びます。
同じアイディアを選んだ人たちが、即席チームとなります。
こちらが、われらがチーム。目指すのは、タブレットを使った「健康アプリ」です。
まずは最初のミーティング。コンセプトは二つ。
- タブレットは操作をしない or 極力操作がないようにする
- 震災後途絶えがちな人とのつながりを復活させ 健康をとりもどせるようにする
初日、昼過ぎ。何を作るかを発表しました。
コンセプトは決まったものの、具体策に欠ける我がチーム。
とりあえず設定したゴールは、「写真を使って、シンプルなつながりを実現する新しいSNS」。
発表を終えて、具体的なイメージがないから(?)、不安がるメンターの方や主催者の方々・・・。
その後、主催の方が心配され、浪江町役場の方や色々なメンターの方を引き合わせてくださりました。色々と情報をインプットするものの、却って、完成型が見えなくってきました…。
「原点に帰ろう」
…とのアドバイスもあり、アイディアの元を見直しました。
こちらが、アイディアの原点。Code for Japanの方や浪江町の方が作られたアイディア・スケッチです。こちらに、当初考えたコンセプト・・・「タブレットは操作しない」、「人のつながりを重視」を組み合わせ、それまで、議論してきたことを合わせることに。
ここから、停滞したチームは、一気に動き出すことになりました。
・ウェアラブル端末で血圧、脈拍を管理
⇒人が気にしているのは「血圧」。まずは「血圧」だけ考えよう。
「高血圧が気になる方に…」みたいなCMはよく見かけるが、「脈が速い方に・・・」のようなCMはない。やっぱり人が気にしてるのは「血圧」かなということで。
・気づかないうちに見守られている/専門家からのアドバイス
⇒医師とつなげるとか、自動判定で警告を出すとかでなく、ご家族、お知り合い、巡回員の人とつなげた方が、人間味があってよいかということに。
医者に「運動しよう」と言われるよりも、知人から「散歩しよう」と言われる方が素敵かな。
医者に「運動しよう」と言われるよりも、知人から「散歩しよう」と言われる方が素敵かな。
・「元気ですか?」には「元気」と応えてしまう。
⇒ボタンを押すようなコミュニケーションではなく、「話をしたい」とか、「電話がしたい」とか思えるようにした方がいいだろうということに。
ここに、タブレットをフォトビジョンのように置いてもらうという考え方を結びつけた仕組みでプロトタイプを作ることになりました。
作るものが決まれば、あとは簡単。プレゼン担当、タブレットアプリ担当、(疑似)血圧計担当、サーバサイド担当に分かれ、作業を開始。
作るものが決まれば、あとは簡単。プレゼン担当、UI担当、血圧計担当、サーバサイド担当に分かれ、作業を開始。
作業は、宿に戻ってからも続き・・・。
翌日は、会場で最終調整。
そして、チーム名は…
プリーズコールミー
となりました…が
通話機能はございません(笑)
こうして、無事、チーム:プリーズコール・ミー!によるタブレットアプリケーション「血縁」が完成。
こちらが、プレゼンテーションです。
血縁 For upload from Takashi Moriyama
プレゼンテーション終了後には、浪江町の方々にタブレットを触っていただき、ご意見を頂戴しました。
そして、見事に浪江町賞を頂きました。
プレゼンテーション終了後には、浪江町の方々にタブレットを触っていただき、ご意見を頂戴しました。
今回のハッカソン、チームメンバーの能力も素晴らしかったですが、ハッカソンの運営も素晴らしかったと思います。事前のアイディアソンと結果をまとめ方。浪江町役場の方から直接地域の状況・課題を聞ける体制。メンターの方の適切なフォロー。これらが総てそろったからこそ、浪江町の方から、評価頂けるプロトタイプが出来たものと思います。
昔から、パソコン配ったり、タブレットを配ったりとかいう事業が行われることがあります。
しかし、今までの事例を考えてみると、あんまりうまくいった事例はないような気がします。
今回、浪江町のタブレット配布では、Code for Japanを中心にシビックテックという市民参画型の手法が取り入れられます。果たして、シビックテックがこの難しい事業を成功に導けるのか?これからも注目していきたいと思います。